素材と技術にこだわる株式会社アサヒ
2020年01月28日
日田の地で70年以上家具を作り続ける株式会社アサヒ。日田杉など木を基調につくられた美しい家具は全国的にも知られていますが、これまでの変遷や家具作りのこだわりなどを、創業者の孫にあたる小埜さんに伺いました。
創業70年を超えるアサヒ家具
私の祖父たちですが、戦後、軍需工場の払い下げの工作機械を買って、それでスタートしました。創業は1946年なので、もう70年以上になりますね。
-当時も今と同じように杉の木を使われていたんですか?
いえ、当時は今ほど杉が生えていなかったと思います。樫などの山に生えている木を使って、丸盆やコマなどを作っていました。その丸盆に脚を付けるような形で、のちに椅子の製造が始まったという感じです。その後、金属のスプリングを内蔵したソファーなども作るようになったんですね。ただ、ソファーの中身は今のようなウレタンではなく、どこのメーカーも藁なんかを詰めていたと思います。スプリングのソファーを作り始めたころは、ちょうど高度成長期だったんですね。筑豊炭田の辺りに炭鉱住宅ができて、そこには何万人も住んでいたのでそこからの家具の需要が大きかったです。
-日田は昔から製材所が多かったんですよね。
そうですね。夜明ダムができるまでは筑後川に流して運んでいました。筑後川の下流が大川ですから、家具産地の大川とも結びつきがありました。
品質には自信ありのオリジナルソファー
-こちらではどのような家具をメインで製造されているのですか?
ソファーが中心ですね。あと、ダイニングチェアやテーブルもあります。どれも木のぬくもりを感じられる使いごごちとデザイン性を重視したものになっています。ベッドもあるのですが、自社オリジナルというより委託生産みたいな感じですね。 家具は今では輸入品が多く入ってきてますが、もう30年前からになりますか。中国、タイ、ベトナムなどで製造した家具がどっと入ってきたので、私どももピーク時と比べるとほぼ半分ぐらいに減っているかもしれません。ですが、毎日の生活を共にする家具だからこそ、良いものを、人に暮らしにやさしい家具をつくり続けていきたいというおもいですね。
-国産品は高価というイメージがありますが、やっぱり手間暇をかけて丁寧に作られているから、その部分の価値は輸入品にないものだと思います。
そうですね。輸入家具を使っていただくとわかりますが、中身の素材、ウレタンなどの耐久性が良いとは言えないと思います。国産の半分以下じゃないかと思います。 やはり一つ一つ手作業で、こだわった素材で、積み重ねた知識と経験、職人の技術から生み出された家具は品質、耐久性に優れています。
-そこがアサヒさんの強みやこだわり、他社には負けないところですね。
PR不足の部分もありますが、ソファーに関しては張りの技術は負けないと思います。ソファーを作られているところは他にもありますけど、技術に関しては九州を探してもなかなかないんじゃないでしょうか。そこは自信をもってお伝えしたいと思います。
-これまでで苦労した時のエピソードなどありますか?
バブルが弾けた後は色々きつかったと聞きます。それまでは作れば売れる時代でしたが、それ以降、数が売れなくなりましたからね。今ではお客さまの意向に沿った形で商品作りを行ったり、カスタムモデルを作ったりしています。
国産家具認定のアサヒ
-家具生産のおすすめポイントはありますか?
家具用に杉を自社で乾燥させていることですね。建築用の杉も売られていますが、それを家具に使うと曲がったり割れたりするんです。建築用ですと半月ぐらいが乾燥期間ですが、私たちの使う家具用の杉は専用の大型乾燥機を使い、1か月半前後乾燥させています。高温で一気に乾燥させると割れるので、じっくり時間をかけて乾燥させているんです。こういうことをされているところは、九州でもないと思いますよ。あと、家具に使用する接着剤や塗料なども体に害のない安全なものだけを使っています。隙間風のある昔の木造住宅と違って、今は一戸建てでもマンションでも気密性の高い住宅が多いですから、シックハウスの問題は完全にクリアしなければなりません。 アサヒは、「安心・安全・環境」の観点から日本家具産業振興会が認定する、国産家具認定事業者です。 国産家具認定事業者とは、国内で生産、強度や耐久性の安定、シックハウス対策などをはじめ、原材料となる木は違法伐採ではない木材を取扱う業者から調達すること。他にも、長くお使いいただくために修理に応じていることなど、これらの安全や環境面での基準をクリアした製品を作るメーカーです。 アサヒのコンセプトである「人にやさしい、暮らしにやさしい」を基に、製品に使われる木材・張材・塗料や接着剤に至るまで、本物の安全安心を追求し厳選された素材で、人に環境にやさしいものづくりを行っています。
-働いていらっしゃるのは職人さんみたいな方たちばかりなんですか?
うちは案外若い人が多いですよ。
-積み重ねの技術なので、熟練の職人でないと作れないというイメージがありました。
技術の継承という点は、どこよりも丁寧にやってきたつもりです。
〜ふれて癒される家具〜
所々に使われた木の温もりと、手触り、座り心地も良いソファーとテーブル。アサヒの家具に囲まれ、ゆったりとした時間が過ごせそうです。本物の安全安心を追求し、厳選された素材が使われたソファーや家具たち。ぜひ、体感してみませんか。
連絡先
株式会社アサヒ
大分県日田市玉川3丁目659
H P http://www.asahi-mok.co.jp/