日田玖珠地域産業振興センター

創業150年を越す饅頭専門の和菓子店「旭饅頭」

旭饅頭は江戸時代から続く老舗の饅頭専門の和菓子店です。リピーターの多い人気店で、取材中にも何人ものお客さんが来られていました。そんな旭饅頭の六代目店主、坂本さんにお店の歴史や和菓子作りのこだわりなどについて伺いました。

江戸時代から続く老舗

創業は江戸時代の後期(慶応元年)1865年3月で、今年で154年になります。ずっと豆田町のこの場所で店をやっています。
私で六代目になるんですが、創業時は饅頭だけではなく「金花糖」や、もち米を加工した「ふきよせ」というお菓子も販売していたようです。はるばる江戸まで製法を伝授しに赴いたそうです。今のような饅頭専門になったのは三代目辺りからのようですね。そのころは冠婚葬祭用の饅頭が中心だったと思います。甘酒饅頭ややぶれ饅頭は今も残っています。

栗入りのそば饅頭

日田はそば饅頭がお土産としても有名ですが、それにちょっと付加価値を加えたいと思ったのがきっかけです。昭和が終わって平成になるころですが、先代が亡くなって私が正式に引き継いだ時に「独自のものを」ということで開発しました。
「元祖栗そば饅頭」は栗が丸ごと1個入っていて、添加物を使用せずにふっくらと蒸し上げています。そば独特の香りと栗の甘味が生かされていて、人気の商品です。全国菓子博覧会で毎回大賞や金賞を受賞しているお菓子なんです。

日田の新しい銘菓「かんぎえん」

咸宜園とは、日田の地で広瀬淡窓が開いた私塾の事ですが、平成27年に咸宜園をはじめとする教育遺産郡が日本遺産に認定されたことを記念して作った和菓子が「かんぎえん」です。
上質の山芋にきめの細かい米粉を混ぜ合わせた皮と、抹茶餡の中に栗の実を一粒包み込んでいます。白い皮は日田の底霧、抹茶餡は底霧の下にある日田の自然、そして中の栗は咸宜園で育った人材にたとえ、作りました。上質な甘みが感じられる、おすすめの和菓子です。

手作りと想いにこだわって

饅頭は蒸して作りますが基本的に生ものに近いと考えています。ですから、できたての商品を召し上がっていただくこと、できたてをその日のうちに売ることを基本姿勢としています。
毎日それぞれの商品を各60~70個、そば饅頭に関しては平均して400~500個作っています。作るのは私と女房の二人です。
夕方には売り切れることもあって、一時は機械生産を考えたこともあるんですが、やはり一個一個手作りであることを大事にしたいと思いまして。
2月中旬から3月は天領日田おひなまつりがあり、一番忙しい時期になります。その時期は1日1500個ぐらい作ることもあります。それでも売り切れてしまうのですが、機械だと量はできますが、手作りに勝るものはないと思っています。
普段は日田市内のお得意さんが中心ですね。市外の方やネットからも注文がありますが、リピーターの方が多いです。おひなまつりの時期には、毎年来てくださる方もいますし、旅行や日田に立ち寄った際にわざわざ買いに来てくださる方もいます。そういうのを聞くとうれしいですね。
今後も手作りの味と思いを届け続けたいですね。

〜守り続けられる伝統と、きめ細やかな味が魅力です〜

今なお古い建物や町並みが数多く残っている日田豆田町。上通り沿いにある、旭饅頭はすべて手作りで、その日できたばかりの饅頭が並んでいます。毎日ご夫婦で作られる饅頭は、薄皮ながらもちっとしていて、上品な甘さがお茶のお供にぴったりです。伝統の製法と味が守り続けられながらも、新しい商品も開発し続けられている老舗の饅頭を、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

連絡先

旭饅頭
日田市豆田町5-20        

H P https://www.asahimanjyu.com/