ジビエのおいしさを家庭に届ける「日田市獣肉処理施設」
2020年03月31日
日田市の奥日田地域といわれる山間部、上津江にある「日田市獣肉処理施設」。猟師さんが捕獲した猪や鹿を精肉加工し、ジビエとして提供しています。 ジビエは海外では古くから高級料理のメインに扱われていますが、日本では一般的にはまだまだ馴染みの少ないものです。しかし、近年、日本でも健康志向の高まりもあり、ジビエに注目が集まっています。 どのような活動をしているのか、「日田市獣肉処理施設」の針崎さんへお話を伺いました。
獣害被害への対策が転じて、地域おこしのグルメ食材へ
現在、日本では野生獣が増えすぎてしまい、主に猪や鹿が農作物を食べたり、田畑を荒らしたり、杉、檜などの樹皮を食害するなど、深刻な被害をもたらしています。もともとこの地域では、農作物の被害に悩む農家の人を助けるために猟友会の猟師さんたちが野生獣を捕獲をしてくれていました。でも、捕獲した猪や鹿のお肉は、猟師さんだけでは食べきれずに持て余してしまいます。無駄なく精肉加工して販売ができるような施設があればということで、この獣肉処理施設が出来ました。 猟友会を母体として発足し、平成24年7月にオープンしました。 この施設には、今は常勤一人に、パートさんや処理場関係の地域協力隊の方もいます。猟師さんが捕獲した猪や鹿をこちらで丁寧に処理して、きれいなお肉に加工し、ジビエ食材として提供するのがうちの目的です。獣被害の対策が地域おこしにもつながっていけばと思います。
丁寧に処理したジビエ肉は本当においしい
ジビエは独自の香りが強くクセがあるイメージがあり苦手と言われる方もおられます。 しかし、丁寧処理したお肉は本当においしいです。独特のクセや臭みなどをなくすには、猟師さんの止め刺しの技術がいちばん大切なんですけれど、その次にこちらでの処理の技術も大きくて、丁寧に処理することで臭みが全然なくなるんですよ。 きれいな色のお肉にも仕上がるので、「日田のジビエは臭みがない」と飲食店さんにも好評です。 ブロック肉とスライス肉がメインです。ミンチもあります。猪肉の全国ナンバーワンを決める「日本猪祭り」で、猪のロースのスライスが2年連続準グランプリをいただきました。
ジビエ料理をもっとたくさんの方に食べてもらいたい
市もジビエキャンペーンを展開してくれていることもあって、福岡市内のフレンチやイタリアン、和食などのお店でおしゃれなジビエ料理として提供してくださり、すごく良かったなどのコメントをいただいていて、本当にうれしい限りです。 今は飲食店に限らず、個人のお客さんへの販売も少しずつ増えています。 猪肉は鉄分、ビタミンが豊富で、コラーゲンも多く美容に最適です。鹿肉は脂質が低く、低カロリー。また鉄分が豊富で、なかでも身体に吸収されやすい成分の鉄分が多く、貧血や冷え性を予防する働きがあります。健康志向の方や女性にもとても喜ばれます。 いい猪のロースは焼いて食べると猪ってわからないですよ。特に冬場は脂が乗って見た目にもとてもきれいなんです。昔は猪や鹿のお肉っていったら「えー、なにそれ!?」みたいな反応が多かったですが、今はジビエ料理の専門店もあり、おしゃれな料理になってきました。披露宴に鹿肉のステーキを選ばれる方もいらっしゃいますよ。
ジビエをおいしく調理するには…
鹿肉はフライパンでふつうに焼くとパサパサになるんです。臭みも出るので一般家庭向けではないですね。 でも、プロのシェフが焼くと別物です。じっくり時間をかけてワインを使って焼いたり、柔らかく臭みもないおいしいお肉に仕上がります。 猪肉の方が煮込めば煮込むほど柔らかくなるので、調理しやすさでは家庭向きですね。豚肉と同じ感覚でよいです。 猪のブロック肉は、大きいまま低温でじっくり焼いて、最後にカットして食べるのが一番おいしいです。猪のロースは塩だけで食べるのが、お肉本来の味が引き立って本当においしいです。 その他にも、猪のスライス肉は、焼いて塩コショウや焼肉のタレで食べるのもおいしいですよ。豚肉より時間はかかりますが、フライパンで弱火から中火で色が変わるまでじっくり焼いてください。温度管理が便利なホットプレートを使うのがおすすめです。 どんな料理にすればよいかわからない方は、まずは身近なカレーに使ってみるのがおすすめです。柔らかくホロホロのお肉になりますよ。
自宅で手軽においしく食べられる 「ヒタギスカン」
精肉のままだと食べ方がわからないという方が多かったので、ご家庭でも手軽に食べてもらえるように、「ヒタギスカン」という味付猪肉を作りました。 ジンギスカンみたいに食べていただけるといいと思います。味付けしていますので、焼くだけでそのままおいしく食べられます。 また、タレや練辛、生柚子こしょうも付いていますので、お好みで召し上がってみてください。
〜高タンパクで低カロリー!ジビエは、栄養豊富な自然からの贈り物〜
「日田市獣肉処理施設」で、すばやく見事に下処理されたジビエは、臭みも脂っこさもなく、肉そのものの旨味がたっぷりつまっています。 山野を駆け巡った天然の猪や鹿は、脂肪が少なく引き締まり、たんぱく質や鉄分などの栄養価が高く、低カロリーヘルシーです。近年は、上質な赤身肉の持つうまみと食べごたえを好む人が増えています。 獣被害の対策と地域おこしを担う、「日田市獣肉処理施設」さんのジビエ食材、まずは手軽な「ヒタギスカン」から、皆さんも召し上がってみませんか?
連絡先
日田市獣肉処理施設
大分県日田市上津江町川原9-1
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