日田玖珠地域産業振興センター

昔ながらの酒造りを今に伝える「クンチョウ酒造」

江戸時代に建てられた酒蔵で今もお酒を製造されているのが日田市豆田町の「クンチョウ酒造」です。伝統を受け継ぎながらも、地域の活性化のためにさまざまな工夫をされている「クンチョウ酒造」の富安さんにお話を伺いました。

300年続く酒造りの伝統

ご覧の通り、歴史は古いです。当地では300年以上前から酒造りを行なっています。
創業家がずっとそのまま続いているわけではないんですが、1932年に今の社長のおじいさんが久留米から来て、親戚筋の千原さんから酒蔵を受け継いだんです。久留米でも古くから酒蔵をやっていましたが、おじいさんは四男坊だったので商売を継ぐのは長男だけ。でも、どうしても商売をやりたいということで、ここの親戚に使ってもらいながら受け継いだという感じです。
蔵は外からではわかりにくいんですが、中に入ると思っている以上に広いと思います。当時の建物が全部そのまま残っているんですよ。それが「クンチョウ酒造」の一つの価値ですね。実際、表側だけ残して中は使いやすいように立て直すという酒造さんは多いんです。

とにかく良い酒を

もともと久留米でもお酒を作っていたので、酒造の歴史は長いのですが、そのころからずっと「とにかく良い酒を」というスタンスです。
1702年に建てられた蔵で、現在も昔ながらの製法を生かし酒造りを行なっています。原料の米や麦などの品種や産地にこだわり、日田の豊かな水と、貫いて磨かれた杜氏の技術で、最高の酒をつくっています。人気のにごり酒、こだわりの日本酒、麦焼酎をはじめとする本格焼酎など数多くの酒があります。
仕込みは冬の間、11月から3月くらいになるんですが、大手メーカーは一年中作れますけど、うちみたいな小さい酒蔵では冬季醸造といって、気温の低い間だけ作るところが多いですね。
早春の毎年2月11日に蔵開きをしています。春というかまだまだ日田は寒い時期で、冬ですけどね。
1年で特に忙しい時期は、やっぱり作りの時期ですね。お酒自体も冬の方が売れますし、10月から準備を始めますがそれから3月ぐらいまでの半年間は繁忙期ですね。4月以降は少しゆっくりします。営業はいつでも頑張らなければいけないですけどね。

「クンチョウ酒造」自慢の日本酒

いろんなタイプのお酒を作っているので、「これ!」とはなかなか言えないぐらい、バリエーションがあります。
うちは代々、長崎県の五島列島にある小値賀というところから、杜氏という酒造りのスペシャリストと、お酒を作る蔵人に長い間来てもらっていたんですが、経営者自身が酒造りに携わるのが時代のトレンドになってきたこともあり、うちでも息子たちを中心に、自分たちの酒は自分たちで作ろうというふうに変わってきました。杜氏さんたちに任せていた時代は、お酒の種類もパターン化されていたんですけど、今ではお客さんのニーズや趣向に合わせて、いろんなお酒を作っています。1つだけ紹介することができないぐらいのバリエーションなんです。

お酒のおすすめの飲み方や楽しみ方ですが、ぜひ蔵の方に来てもらいたいですね。ショップに試飲コーナーを作ってますので、そこで自分好みのお酒など試飲していただきたいです。その時期おすすめのお酒を出しているので、実際に舌で試していただきたいですね。
夏はさっぱりしたお酒、秋はひやおろし、12月には絞りたてほやほやの新酒初絞り、3月には蔵出し生原酒と、3か月ぐらいで変えていますので、その時期のおすすめのお酒をお楽しみいただけます。
お酒は時期によっていろいろな楽しみ方があり、温度の違いを楽しめるお酒は世界中で日本酒だけなんですね。 そういう意味では奥が深いですよ。

地域を盛り上げるためにイベントを開催

業界自体、お酒の出荷量はずっと下がり続けています。昔は一升瓶での売り上げが大半でしたが、一升瓶は少なくなってきましたね。今は、お米の品種を変えてみたり作り方を工夫したり、いろいろ研究しながら特別な純米酒に力を入れています。なので、単価は上がっていますが、良いものをしっかり作って、それをお客さまにお届けするというだけです。
長い間私が中心にやってきましたけど、最近は息子たちが入ってきてくれたので私は少し後方に回っています。息子たちがたくましいので、いろいろ企画などを任せることが増えてきました。外に向かってどんどん発信してくれますし。たとえば、蔵開きのイベントや酒蔵でのコンサートなど、お客さまに蔵のことを知っていただくためにできることを少しずつ積み重ねています。
これまで観光客の方がほとんどというイメージがあって、地元向けではないと思われている方もいて、そういった声も聞きました。しかし、地元が賑わうためのイベントなので、近くの方もぜひ一度いらしてください。実際、蔵開きの時は周りの飲食店にも人がいっぱい入って、「よかった」というお声をいただきます。イベントによって町全体が活気付いてくれればと思いますね。

〜歴史ある老舗酒造「クンチョウ酒造」〜

伝統を守り、昔ながらの酒造りを続けている、蔵元「クンチョウ酒造」。天領日田の豊かな水と守り続けられてきた職人技は今もなお受け継がれ続けています。
酒造見学もできる蔵元であり、酒蔵群は建築物としても大変価値のあるものです。そんな「クンチョウ酒造」では、江戸時代より続く酒蔵を大切に守りながら、丁寧な酒造りが行われています。
和食でも洋食でも合う日本酒。お刺身はもちろんですが、カルパッチョにもとても合います。
300年以上もの歴史ある「クンチョウ酒造」のお酒を、ぜひご自身の舌で味わってみてください。至福の味わいが見つかりますよ。

連絡先

クンチョウ酒造 株式会社
大分県日田市豆田町6-31        

H P https://www.kuncho.com/