日田玖珠地域産業振興センター

日田の老舗醤油メーカー「まるはら」

明治時代から醤油の製造を続ける歴史と伝統のある「まるはら 原次郎左衛門」。世界的なシェフも絶賛するまるはらの醤油ですが、「虹色ラムネ」などちょっと珍しい商品も販売されています。4代目代表になる原さんにお話を伺いました。

変わらぬ味と伝統

創業1899年(明治32年)ですが、会社組織となったのは大正13年、日田市で法人としては一番古い会社です。今でもその名残で「株式会社」ではなく、「合名会社」を名乗っています。私で4代目になります。明治20年代に日田の隈町で製菓業を営むようになり、明治32年から現在の地で味噌・醤油・清涼飲料水などを製造するようになりました。屋号の『まるはら』とともにある当主『次郎左衛門』の名前は、私が先祖からの名前を受け、平成7年から正式に名乗らせていただいているものです。
天領、日田の街は、古くから味噌・醤油・酒の醸造元が栄えた街として知られています。原次郎左衛門の味噌・醤油蔵には百余年の長きを受け継いだ、変わらぬ味と香りがあります。

醤油には絶対の自信

やっぱり醤油はいちばんのおすすめですね。福岡三越さんでは、醤油部門の売り上げで15年間1位です。
醤油のなかで一品おすすめを挙げるとしたら「あやめ」です。長い間売り上げNo.1のお刺身醤油です。
九州では甘くてトロリとしたお醤油を、かけ醤油として使います。とろみがありよく絡むため、寿司・刺身に限らず、冷奴・漬物・お餅などにもぴったりです。

そして、「鮎魚醤」もおすすめです。魚醤では間違いなく世界一だと自信を持って言えます。わかっているだけで7軒の三ツ星レストランが使ってくれています。パリ、ニューヨーク、シカゴ、東京、京都、それ以外もあると思います。醤油には本当に自信を持っていますね。魚醤といえばイタリアの魚醤がいちばんおいしくて高級なので、高級レストランの多くはイタリアのものを使っていますが、うちの魚醤を東京のイタリアンレストランが使ってくれるようになってから変わりました。
多くのシェフ、プロの方などに絶賛してもらっています。この鮎魚醤は、独自製法により鮎と塩と微量の酵素のみで熟成し作っています。素材の旨味と香りを引き出してくれる天然発酵調味料なんです。
手軽に楽しんでもらえるのは、カルパッチョですね。オリーブオイルとは特に相性が良いのでおすすめです。和洋と他の料理でも数滴たらすだけでワンランクアップした味に仕上げてくれるので、万能調味料としてキッチンに常備してもらいたいですね。

それと、新しい商品では「ハーブガルムソース」もあります。うちの先祖の一人は、ダヴィンチの最後の晩餐を見た最初の日本人であろうと言われている天正少年使節団の原マルチノなんですよ。最後の晩餐の料理には魚醤を使ったソースが使われていたそうなので、それを参考に作りました。
13種類のハーブ&スパイスに白ワイン・はちみつ、鮎魚醤もブレンドしています。マリネの下地、ハンバーグやスープ、ソースにおすすめです。

まるはらは古くからの歴史がありますが、自分が知らない事が多くあります。平成7年に観光工場を始めて、それからいろんな話を聞くようになりましてね。「お宅の先祖は日田ではなくて佐賀県ですよ」と言われ、系図を見たら「本当だ」とか。だから、今は系図を調べている最中なんですよ。

とにかく美味しいものづくりを

ものづくりというのは、「とにかく美味しいものを」ということなんですね。表現しにくいけど、プロが美味しいと思うものを作りたいと思うような商品を作ることがうちのいちばんのコンセプトですね。ただ、どんな食品でも美味しいものをと言いますから、表現に困りますけど。 あと、有名店で使ってもらうようになると、反応が全然変わりましたね。「あそこが使っているということは美味しいんじゃないか」と思って味見してくれますから。魚醤は難しい味なのでなかなか違いを感じにくいものなんです。でも、腕の良いシェフのみなさんにはわかってもらえ、そのおかげで、日本でずっと三ツ星を続けているレストラン2軒でも使ってもらっています。

人気商品「虹色ラムネ」の誕生秘話

虹色ラムネは、テレビや取材など取り上げていただくことも多く、大人気の商品です。
ラムネの色は野菜や花から抽出した天然色素を使用しているため、光にあたると徐々に色が消えていきます。その様子が少しずつ消えていく虹のようなところから『虹色ラムネ』と名付けました。
このラムネが誕生したのは大分の異業種交流に参加したのがきっかけで、大分のコンサルタントと共同開発しました。色付きのラムネは評判が良く、これは良いと思いもっと作ろうとしたら、色が消えるんですよ。それでいったんは販売をやめていたんですが、NHKの取材があった際に「1本作ってくれ」ということで作ったところ、視聴者から「あのラムネを売ってくれ」と電話がありましてね。今は年中販売していますが、その当時は夏場だけ売ろうということで販売することになりました。そしたら、それが新聞に取り上げられて話題になり、それからずっと人気商品ですね。ただ、最初のころは色が消えたり色素が沈殿したりでクレームもしょっちゅうありました。最初の5年間は、売れることは売れるんだけど返品やクレームも多く大変でした。

〜蔵元でつくられる数々の商品〜

地元でも長年親しまれ続けている、まるはら 原次郎左衛門。平成7年に新工場が完成以来、味噌・醤油の蔵元見学やラムネ工場見学もされています。近代的な設備の中でつくられる、”昔ながらの味と香り”が引き継がれた数々の商品があります。
ぜひ、長き歴史のある蔵元でつくられる旨味たっぷりの醤油と、色鮮やかで目でも楽しめる虹色ラムネを味わってみて下さい。

連絡先

合名会社 まるはら
大分県日田市中本町5-4        

H P http://www.soysauce.co.jp/