創業160年の老舗「マルマタ醤油」
2020年03月25日
江戸時代から日田で醤油造りをされている「マルマタしょう油合資会社」。国産原料を使い、自社蔵で麹造りから行っている、最近では貴重な醤油蔵です。そんな「マルマタ醤油」の合原さんに、おすすめの商品や醤油についてお話を伺いました。
江戸時代より続く、歴史ある醤油屋
1859年創業(安政6年)で、約160年になります。創業者の合原又七郎にちなんで、マルマタの屋号になりました。創業して2年間は日田市田島で綿屋をしながら、計量器具も扱っていたそうです。その後、現在のマルマタ醤油と同じ隈町で醤油醸造をはじめました。
現在のマルマタ醤油には大きな煙突があるんですが、40年前くらいまでは使用していたようです。日田は山に囲まれており、林業が盛んなこともあって製材所が多く、材木や石炭を動力にしていたんです。昔のボイラーは、炊き始めてから1時間ぐらい経ってやっと少しずつという感じで、非常に時間がかかっていたようです。今のボイラーはガスや石油ですぐに蒸気が出ますが、以前は苦労していたようです。
自社の蔵で諸味から一貫して作っているのが強み
マルマタ醤油では、自社の蔵で諸味(もろみ)から作っています。原料も厳選し、国産にこだわっています。小麦は大分県産のものを使用し、大豆も遺伝子組み換えではないもの、水も水郷日田の豊かな水を使っています。 まず、厳選した原料から麹造りを行います。3日間夜通し管理をしなければいけません。この作業で醤油の味が決まるので、とても重要な作業なんです。 できあがった麹と塩と水で諸味をつくります。タンクの中で1年以上熟成させるんです。こういった工程で、諸味から一貫製造しているところは、大分県内でも少なく、3社ぐらいだと思います。 熟成された諸味を搾ると、生の醤油ができあがります。これに火を入れ、アミノ酸や糖分などの成分をそれぞれ調合して、各種の醤油ができあがります。
土蔵造りの蔵で製造された、天然醸造の味
現在マルマタの醤油ですが、単品なら7種類あります。 主原料の大豆・小麦・塩を熟成させ、諸味を搾っただけの生の醤油を生揚げ(きあげ)といいます。この生揚げに火入れしただけの醤油が「四代目」です。九州は甘めの醤油を好まれますが、これは甘みが少ないので、県外向けといいますか、九州より北の地域向けですね。醤油本来の味を楽しんでもらえると思います。これにシイタケエキスを加えたものもあり、海外では中国の方にも人気です。 何にでも使えますが、煮物などの調理用に便利ですね。塩辛い味が好きな方はかけ醤油としてお使いいただいてもおいしいと思います。 それと、最近いろんなところで取り上げていただくのが、「太陽」という刺身醤油です。少し甘みがあって、九州醤油らしい濃厚で深いコクのある刺身醤油です。 ずいぶん昔のことですが、日田のお寿司屋の店主からこんな醤油を作ってもらいたいと言われたのがはじまりなんです。 寿司、刺身はもちろん、豆腐などにかけて食べるのもおいしいですよ。 刺身醤油では「太陽」の他にも「甘口さしみ」や「さしみ」という商品もあります。「甘口さしみ」は、その名の通り甘めですが、それより少し甘さを抑えたのが「さしみ」で、よりコクがあるのが「太陽」です。日田の人は甘い醤油が好きなのもあってか、最近は「甘口さしみ」を買われる方が増えてますね。
山椒の風味が広がる「さんしょう醤油」がおすすめ
最近販売をはじめた「さんしょう醤油」という商品があります。山椒の木を植えるところからはじまった醤油なんです。すべて手作業で、無農薬で育てているんですが、5年ほどたってやっと山椒の実が採れるようになってきました。実を丁寧に摘み採り、小枝も手作業で取り除いています。この山椒の実と本醸造醤油を使用し、山椒の風味広がる醤油ができました。化学調味料と保存料は一切使用していません。 山椒の香りを楽しんでもらいたいので、シンプルにお刺身やお豆腐、卵かけご飯などにかけてお使いいただくといいと思います。ステーキにも合いますね。熱を加えずに食べる方が山椒の香りが広がるので、シンプルな使い方がおすすめです。辛味を加えたい時には、粒を2~3個入れると山椒の香りと辛味がもっと楽しめますよ。 ただ、こちらは期間限定です。 山椒は6~7月にしか採れないので、アク抜きなどの下処理をして冷凍していますが、今あるものがなくなったら終了です。今後も改良してもっと数を増やしたいと思っています。
〜麹造りから一貫製造される天然醸造の味〜
原料の吟味から、瓶詰め、出荷するまで一貫製造されるマルマタの醤油。日田の地で、水源豊かな水と厳選された原料からつくられる醤油は、 160年程の長い月日に守り受け継がれた、昔も今も変わらぬ伝統の味です。最近販売された「さんしょう醤油」は、また違った新しい楽しみ方もできそうです。 歴史ある土蔵造りの蔵でじっくり熟成され、手間暇かけてつくられた深い味わいのマルマタの醤油を、みなさんもぜひご賞味下さい。
連絡先
マルマタしょう油合資会社
大分県日田市隈2-2-36
H P https://marumata-s.com/