江戸時代より続く布善製菓本舗の「元祖そば饅頭」
2020年03月31日
江戸時代から家伝の菓子であったそば饅頭を、そのままの製法で作り続けている、「布善製菓本舗」9代目の岩崎さん。代々受け継がれるそば饅頭へのこだわり、そして不思議な話など、お菓子への思いを伺いました。
歴史感じる「元祖そば饅頭」
創業は寛政三年1791年の江戸時代です。 このそば饅頭は、菓子職人であった岩崎家に代々伝わってきた家伝の菓子をもとに、布善5代目の善作が生みだしました。日田周辺の山々の恵みである自然薯とそば粉を加え、試行錯誤を繰り返し、できた饅頭が日田名物のそば饅頭です。 伝えられたことを、そのままの製法を、今も受け継いで作っています。 大正時代に日田土産品評会の優等賞を受賞してから、全国菓子博覧会など多くの賞を受賞しています。今までいろいろな賞などをもらってきました。 大正時代の古い時代のものから今までの表彰状をお店の中に飾っています。昭和10年前後には皇族の秩父宮様はじめ、何度か皇族の方に献上しているので、献上伝達書を貰っています。こういったものを持ってるところは少ないと思いますね。
洋菓子も取り入れている、老舗饅頭屋
僕は9代目で、8代目の親父もまだ現役です。今も餡子は炊いてくれてますね。 ここで私が饅頭を作りはじめて、25年くらいになります。ここを継ぐ前は、京都でお菓子屋の修行をしてました。菓子学校に1年通って、その学校で2年間働いてきました。 そこの経験もあり、元々はどちらかというと洋菓子の方が専門だったんです。今も和菓子の他に、洋菓子も作っています。最近はマカロンを作っています。 主に福岡の方で出しているんですけど、お店でも少しずつ売ったりしてます。それと、わらび餅も出しています。 「元祖そば饅頭」のほかにも季節限定のそば饅頭で、「さくらそば饅頭」や、抹茶あんが入った「祇園饅頭」など作っています。四季に合わせて、そば饅頭をアレンジしたその時期限定のものも作っています。和菓子だけでなく、洋菓子のアイデアも取り入れながらお菓子を作っています。
代々続く、不思議な話
不思議なことにうちは5代に渡り、みんな13日生まれが続いているんです。 僕は7月13日。親父は9月13日。先代は親父のおじさんで1月13日。祖父は8月13日。ひいおじいさんも同じ8月13日なんです。私は次男で、もともとは継ぐ予定ではなかったんですけど、不思議ですよね。代々の当主に見守られている感じですね。この話をするとみなさん驚かれます。 姪っ子にも13日生まれがいて、継ぐとかは全くわからないですけど、13日生まれがいるので不思議ですね。
こだわりは当たり前のこと
こだわりは特になくて、というか、毎日普通にいつも同じように仕事をするっていうことです。 仕込みは毎朝、売れるだけ作るっていうのが、基本だと思います。同じ味を届けることが当たり前で、「今日のは美味しくなかった。前に買ったときは美味しかったのに」というのはないように、安定した味を作り続けることです。それが当たり前のことと思ってます。 餡子の仕込みは親父、生地は僕。その作業を基本的に必ず毎日やってます。梱包や包装、箱詰めも二人で。大変とは思ったことないけど、毎日のことだから、当たり前のことですね。 難しいのは、その日どれだけ売れるかですね。一日の売れる数は幅があるから、忙しい時は何百個とか何千個とか売れるし、観光バスが入った時は100人来たら100人分以上が売れる訳なので、売れる数だけを予想して作るのは難しいですね。 観光に来た際のお土産に買われる方が多いですけど、地元や常連の方もお茶菓子やお土産によく買ってくれます。 これからも布善5代目が作ったこの「そば饅頭」一本で食べていけたらと思いますね。代々続く味を、このまま届け続けたいと思っています。 朝仕込みをして、できたてを売り、その繰り返しです。作って何日か経って、なくなったら作るっていうのは違うと思うんです。毎日、出来るだけ真空パックもしなくて、昔ながらのやり方で作り続けたいんです。伝えられたことをするのが本当と思うから。 添加物を入れないで、真空パックもしなくて売り続けていきたいですね。
ひと味違った食べ方も
おすすめの食べ方があるんですが、焼いて食べると美味しいんです。 電子レンジじゃなく、トースターで1〜2分焼くと、周りの生地がパリッとして、中はふわっとするんです。生地に山芋が多めに入ってるので、また違った食感が味わえると思います。 楽しみ方は食べる人それぞれだと思うので、いろんな食べ方で楽しんでくれればいいですね。
〜歴史を超え今なお愛される「元祖そば饅頭」〜
日田の名物というとそば饅頭が思い浮かびますが、その元祖でもある布善製菓本舗の「元祖そば饅頭」はそば粉の香りと山芋のふわっと、しっとりとした生地が特徴のそば饅頭です。 中のこし餡は上品な甘さで、そばの風味を引き立たせてくれます。 お土産にも、お茶うけにも最適な「元祖そば饅頭」をぜひ味わってみてください。
連絡先
布善製菓本舗
大分県日田市隈1丁目2−29