竹箸の名工「大内工芸」
2020年03月31日
国産の竹を使った手作りのお箸にこだわる「大内工芸」。内閣総理大臣賞などこれまで数々の賞を受賞してきた匠の技が光るお箸ですが、2代目となる大内さんにお箸作りについての思いを伺いました。
国産竹から職人の手により、できあがる箸
-箸づくりを最初に始められたのはお父さまになりますか?
はい。私は2代目です。18歳から親父と一緒にやって、もう40年ぐらいになりますね。
親父はもう86歳なので、今は会長として家で箸のテーピング作業をしています。指先を使うし、仕事を続けています。まだまだ元気です。
3代目になる息子が今22歳ですが、お箸作りを始めて、もう3年ぐらいになりますね。今腕を磨いています。
そして、うちの職人さんは20代から80代まで幅広く勤めてもらっています。常務のおじさんは80になりましたが、ほかのみんなも長いですね。熟練の技を持つ職人がそろっています。ほとんど辞めることなく30年ぐらい続けてもらっています。
-これまでさまざまな賞を受賞されているんですね。
特に大きいのは内閣総理大臣賞ですね。これまで日田では二人しかいません。もらったのは前社長の親父ですけどね。
-竹箸を手作りされているのは県内でも少ないですか?
もう一軒、うちの親父が弟子入りしていたところがあります。そちらも親戚ですけどね。だから、日田では今2軒ですね。
-こちらのお箸には日田の竹を使われているんですか?
おもに日田の竹を使っていますが、佐賀や熊本などの材料も使っています。日田の竹だけを使いたいですが、竹取職人の数がもう少ないですからね。しかも、高齢化していて80歳ぐらいの人ばかりなので。
箸職人だからできる、こだわりのお箸
一つ一つ手で削って角度を整えたり、磨いたり、塗りから包装まで全て人の手でしています。 「ダイヤカット研出し箸」は、細身の竹箸で、使いやすさを追求した人気商品です。頭部はピラミッド状にカットされ、角に色を出す技術は、他の業者さんにはなかなか真似できないと思います。
-このお箸は四角形ですか?
四角形に見えますけど、角面を取っているので正確に言えば八角形ですね。角面を取らないと持った時に痛いじゃないですか。だから角面を取って、その部分にも色を出しているという感じです。 15年前に私が、考案製作したものですが、10年ほど前から使いやすさとデザインが受けて、雑誌等に取り上げられるなどされました。今では「大内工芸」の人気商品です。先端部分まで細くしなやかなお箸は、手作りだからこそできる技です。
「丸研ぎ出し箸」もおすすめです。丸みを帯びたお箸なんですが、握りの部分は丸く途中から四角になっている使いやすいお箸です。この持ち手の部分ですが、二重塗りになっていて、表面を研いで下地を浮き上がらせています。これも手作業だからこそ出せる技です。下地の色が綺麗に浮き出ているのが特徴です。
-これらはすべて手作業で同じ形にされるんですね。
手作業なので、完全に同じものにはならないですけど、だいたいそうですね。
お箸の中でも「丸皮付箸」といって、私ともう一人の職人の二人だけしか作れない箸があります。
上側だけに竹の皮を残した箸なんですが、先端まで皮を残しているんですよ。先端になると皮の厚さが1ミリぐらいしかないので、ほかの人にはなかなかできません。こういった細かい技術は、熟練されたからこそ成せる技ですね。
豊富な種類の、ここにしかないお箸
竹素材の特徴を生かした様々なお箸があるんですが、その中に「トラ竹うるし箸」というお箸があります。このお箸に使っている竹は、高知県にある山からしか採れないんです。一つの山の谷間にしかできない竹で、隣の山にはないという独特の竹です。 見た目は真竹に近いですが、柄があるんです。1本の竹でも位置によって柄が違っていましてね。上の方は白くて、下の方になるほど黒く柄になっているという感じです。どこにでもない竹なので、とても貴重な竹なんですよ。 こういった貴重な竹でできたお箸や、ほかに創業以来造り続けている「花入り箸」があります。手彫りのチューリップが可愛らしい竹箸なんですが、これも彫刻刀を使って手で彫って、そこに色を塗っています。はみ出した色はペーパーで落とすなど、手間をかけて作っています。 ほかにも短めの16.5センチの箸がありますが、弁当用にいいと思います。箸が弁当箱より長いと邪魔になるじゃないですか。そういうことで作りました。
-年間20万膳も作っているとお聞きしましたが。
全部でだいたい月に2万膳ぐらいですから、すべて合わせると20万膳は十分作っていますね。 お箸のほかに、竹のスプーンやフォークも作っているんですが、「塗り分けフォーク」「ピアスフォーク」はうちのオリジナルで、和菓子切やフルーツに使うと上品な印象になりおすすめです。
お箸一筋で今までも、これからも
-全て手作業で多くの箸を作られているので、ケガも多くありそうですが。
多少することはありますが、たいしたものではありません。それより、1日中やっていると、手の当たっている部分の皮膚が赤くなって、気がついたら血が出ていることがあるんですよ。血が箸に付いたらダメなので、血が出た日はもう作る作業はおしまいです。集中して作業していると、気がつかないうちに手や指の皮膚が赤くなっています。保護のために職人は指にテープを巻きながら作業をしますよ。
-ケガとも隣り合わせのなか、全て手作業で職人技術に優れているからこそ、こういった使いやすいお箸がうまれるんですね。
そうですね。一部の工程では機械も使いますけど、最終的には手で作業しないとこういうふうにはできません。 同じ道具を使って作ったとしても、人の手と機械では全く違います。持ってもらったらわかると思います。機械とは全く違う、手になじむ感覚は手作りだからこそできることです。 「大内工芸」にしかできない技術で、今後も使いやすさを追求した、一度使ったら二度目も使っていただける製品づくりを続けていきます。
〜一度使うとわかる、こだわりの箸〜
全て手作業からできているという、「大内工芸」の竹箸。大内さんはじめ、職人の方が作るお箸は美しく、手に持つとなじむ感覚がよくわかります。美しく、頑丈な竹箸。人の手で作られたとは思えないほど細く、まっすぐなお箸は一度使うとその良さが感じれると思います。ぜひ、全てにこだわって作られた「大内工芸」の竹箸を使ってみてください。手になじみ、使いこむほど味が出て、その使いやすさに驚くはずです。
連絡先
有限会社 大内工芸
大分県日田市小迫町1116-2
H P http://www.take-ouchi.co.jp/