渡邉さんがつくる、栽培が難しい「青実山椒」
2020年03月31日
日田市の山間部、前津江で山椒の生産をされている渡邉さんご夫婦。釈迦岳の麓にある渡邉さんの山椒畑に入ると、3mほどの山椒の木が並び、鮮やかな黄緑色の実とツンとしたさわやかな香りが印象的です。渡邉さんに山椒づくりへの思いを伺いました。
新たなチャレンジ、山椒づくり
山椒づくりを始めたのは約40年前です。元々は米作を行なっていましたが、減反政策により転作(その田畑で作っていたものとは別の作物を作ること)を始めたのがきっかけです。 このような山間部の地形や環境に適した作物は何か?役場や農協に相談したところ、遊休畑や水はけの良い傾斜地、段々畑等を活用できる山椒の栽培が適しているのでは?ということで、まずはやってみようと。 栽培を始めた頃は、山椒の木が2〜3年で突然枯れてしまって収穫できない年もあり、安定した収穫を行う事は出来ませんでした。 ある時、10本程ぶどう山椒の苗が手に入ったので、植えてみたところ枯れずに元気に育ってくれました。
試行錯誤の苗づくり
当時、ぶどう山椒の苗は珍しく入手しづらかったので、木を増やすには、自ら苗を育てていかなければなりませんでした。 冬山椒(比較的強い品種)を台木にし、種を取り、蒔く。また種を取り、撒く。 畑の中の木には、台木となる冬山椒に朝倉山椒とぶどう山椒を接ぎ木し、3種が一体となっている木もあります。この作業の繰り返しと日々の畑の手入れは根気も必要で、大変な苦労でしたね。 しかし、この時の苗が今では大きな木に育ち、現在も枯れずに毎年たくさんの山椒を実らせてくれています。長年の試行錯誤の末、苗を自ら育てられるようになり、少しずつ木を増やしていくことができました。 6~7年前からは苗の販売も行っています。
やっと実るようになった山椒
現在栽培している品種はぶどう山椒と朝倉山椒の2品種です。ぶどう山椒は山椒そのものの強い香り、朝倉山椒はぶどう山椒より爽やかな香りが特徴です。 収穫シーズンは5月末~9月頃で、一粒一粒手摘みで収穫を行います。 しかし、枝にはトゲがあり、長時間収穫作業を行うと手先も痛くなったりするため、一日の収穫量は限られるんですよ。 他にも大変な事はありますが、たくさんの苦悩を乗り越え、安定して実るようになったこの山椒を、”もっとたくさんの人達に食べてもらいたい”という思いが一番です。
風味、香りの違いを感じてください!
山椒は量をたくさん食べられるものではないので、ペッパーミルで粉にして料理に使用するのが一般的ですよね。低温乾燥させた後の擦りたての山椒は香りもとても良いので、ぜひ一度食べてみてほしいです。 他にも、粒のまま床(とこ)漬けにしたり、魚を煮る時に臭み消しとして一緒に入れたり、収穫してすぐの固くなる前の実であれば、塩をまぶして塩山椒にするのもおすすめです。塩山椒はおにぎりの中に入れたり、意外と色々な食べ方がありますよ! 今後はおすすめのレシピや食べ方も紹介していきたいです。
〜爽やかさ引き立つ、渡邉さん家の青実山椒〜
前津江の雄大な山々、澄んだ水、空気のなかで育ち、丹精込めて作られた渡邉さんの青実山椒は、ツンと爽やかに鼻にぬける新鮮な香りが特徴です。一般的に市販されている粉山椒とは香りや風味が大きく違い、爽やかに様々な料理を引き立ててくれます。 県内・外の飲食店や、海外の食品バイヤーの方々にもとても高評価をいただいています。 皆さまも一度、渡邉さんが作られる青実山椒の爽やかな香り風味をを感じてみませんか?
連絡先
渡邊英典