トライウッド −木材を無駄なく使いきって、森を次の世代につなぎたい−
2019年12月26日
株式会社トライウッドは日田市上津江町の総合林業会社。
「Pay it forward-次へ渡そう-」をスローガンに、林業を通して「人と人のつながり」を大切にしようと、様々な事業展開をされています。
今回はその中から、間伐材の活用事業を担うエコ商品事業部・嶋津さんにお話を伺いました。
企業組合ウッドトレーから、トライウッドエコ商品事業部へ
2000年2月に「製材所から出る端材(丸太の端の部分など板材として使えない木材)で何か作れんか」という話になり、企業組合ウッドトレーが作られました。 「高齢化と若者の林業離れを何とかしたい」という思いもあったそうです。 最初は木の皿とかトレイを作っていました。 そのうち団扇も作ることになり、次の年には新しい工場を建てました。 2002年には日韓サッカーW杯がありました。上津江村がカメルーン代表の宿泊地になったことで、それにあやかったグッズも作っています。 その後、2004年にトライウッドが引き受ける形になりました。
社会貢献への思い
企業組合のころから地域の雇用につなげたい思いが強く、トライウッドが引き継いだ今でも第3セクターの考えなんです。 やっぱり「地域雇用の場にしなきゃ、社会貢献したい」って思いは強いです。 名前も「エコ商品事業部」なので、エコへの意識も強いです。
前の世代から先の世代へ。木を絶やさずつなぎたい
今、自分たちが木を使えるのは60年70年前の人たちが植えてくれたからです。 それを毎年きちんと繰り返していかないと、次の世代につながらないんです。 やらなきゃ、50年60年後には作れなくなります。 「その頃には自分はいないから、どうでもいいや」と思ってしまったら、それで終わりなんです。 今ある木を植えた昔の人たちも、同じような状況でありながら何十年も先の私たちのことを思って植えてくれました。だから、それを絶やしたくないんです。 森は手入れをしなければ荒れ果て、いずれは大きな災害に至ってしまうこともあります。 切って、植える。 切ったら、使いきる。 どうしても使えないところは、バイオマスにする。 木を切って無駄なくしっかり使うことが大事だと思います。
プラスチックより木を使おうよ
最近「廃プラ」って言いますよね。プラスチック使わないようにしましょう、って。 本当に、プラスチック使うなら木を使おうよ、と思います。 うちのトレイを「バーベキューとかアウトドアに使いたい」という注文もありますし、「木のストローを作ってくれないか」なんて話もあります。 プラスチックの代わりになるようなことは、どんどんやっていきたいです。 やっていかないと、ただの木工品屋になっちゃいます。 とにかくエコを心掛けていきたいです。
「津江杉」として売り出す
通常は、「日田杉」って言うところを、あえて「津江杉」で商標登録をしています。 材料の一部は日田の杉も仕入れていますが、その他の杉はすべて、前津江、中津江、上津江の杉を伐採して使います。 その後、津江で製材加工を行い、「津江杉」として販売してます。
使い方が無限にある「ツキ板素材」
うちのメインは厚さ0.3~0.4mmの、きわめて薄い木材「ツキ板素材」です。 ランプシェード、ファイル、しおり、タスキ、名札、ハガキや封筒…素材として色々な使い方があります。 重ねて貼り合わせて強度を上げれば、お皿や団扇、パズル、コースターにもなります。 工夫次第で何にでもできるんです。
お客さんは自分で調べて来てくれる
今一番大きな取引は、ノベルティを作る企業への素材提供です。 有名な企業さんがいくつも、うちの素材を使ってくれています。 近年は企業のブランドイメージに沿った‟木の素材を使いたい”といわれる企業さんは多い傾向にあり、作った商品が関東など全国に出回ると、それを見て調べていただき、企業さん側からこちらへご依頼いただくことが多くあります。
思わぬところからつながることも
ミュージシャン坂本龍一さんが代表を務められている「more trees」という団体があって、カーボンオフセット活動(森林保護などを通してCO2排出量を削減する活動)をされています。 それを通じて、以前より関わらせていただいていました。 今では、うちで作った木の時計を使ってくれています。 元々からのつながりで、お仕事をいただけることもあるんですよ。
作って楽しい、見て楽しい立体パズル
今、特にオススメしたいのは組み立てる立体パズルです。 0.5mmの芯に0.4mmの素材を4枚貼り合わせてます。 金魚とか猫とか色々ありますが、中でもカブトムシとウサギの2種類は、特におススメです。
子どもたちに木のぬくもりを
ツキ板素材で作った日本地図のパズルも、お子さんにぜひ使ってほしいです。 小学生のお子さんなどの学習にもなるんじゃないでしょうか? 子どもたちに、木にどんどん触れてもらいたいと思っています。 木のぬくもりを感じられる商品を、どんどん売り出していきたいですね。
〜次の世代へとつながる森の資源、森を守っていくこと〜
地域雇用の促進やエコサイクル、森の環境保全等で社会貢献をめざし、熱い思いでぬくもりある、すばらしい商品が生まれています。 ぜひ一度、皆さまもお手に取って感じてください。
連絡先
株式会社 トライ・ウッド
大分県日田市上津江町川原2810-1
H P http://www.try-wood.com/