自然に囲まれた山の中でヤマメ料理が楽しめる「やまめの郷」
2020年03月31日
日田市の山間部、釈迦岳の麓、清らかな空と清流、豊かな自然のある前津江。そこで、ヤマメの養殖、食事処、民宿を営むのが「やまめの郷」の綾垣一喜社長です。 若くしてお金もない状態からの出発でしたが、多くの人の協力でここまでやってこられたと語ります。そんな「やまめの郷」の綾垣社長にお話を伺いました。
幻の魚、ヤマメを前津江の特産品に
私は前津江で生まれ育ちました。交通の便の悪い過疎地でしたが水がきれいでね。小さいころから川でヤマメを獲っていました。ヤマメは冷たくきれいな清流にだけ住む川魚です。川魚では一番おいしい魚といわれています。 これをなんとか養殖したいと思い、昭和48年、25歳の時に県の水産試験場に実習に行ったんですよ。水産試験場で、2年半の間、排卵して受精させて、生まれた稚魚を成魚になるまで育ててという技術を学びました。 当時は、ヤマメの養殖はなかなか難しくて「幻の魚」と言われていましたが、豊かな自然の恵みもあり、試行錯誤で立派なヤマメが育つようになりました。これをなんとか前津江の特産品として活かしたいと思ったのが、この「やまめの郷」のきっかけです。
郷土のヤマメをたくさんの方に食べてもらいたい
その当時はヤマメの販路がまだなくて、水槽に魚を3000匹ぐらい入れて日田市内のホテルや旅館を回っていたんですよ。「試食品として使ってくれませんか」と言ってね。 でも、当時の日田は、観光では鮎に力を入れていたのでヤマメは全然ダメで、それなら山間地に行って売ろうと考え、菊池、竹田、彦山、直入、それに八女まで営業に回って販路を開拓して行きました。そこで、少しずつ扱ってもらえるところが増えていきました。 その後、35歳の時に、もっと水の良いところを探して、同じ前津江の大野に土地を買いお店を移しました。もっとたくさんの方にヤマメを食べてもらいたくて、食事処や民宿を作り、自分で料理も提供するようにしました。 無一文から始めて大変でしたが、同級生をはじめ、いろんな人が協力してくれて、自分も朝から晩まで一生懸命働きました。
すべてはお客さんに喜んでもらうために
田舎で営業していると、なかなかお客さんが増えません。お客さんに来てもらって喜んでもらうためには、常にお客さんを受け入れられる体制を作らなければならないと思って、シャクナゲ園や釣り堀、プールを作りました。 シャクナゲ園は3300坪の広さに3500本のシャクナゲが植わっており、毎年春に花が咲くころは本当にきれいですよ。釣り堀やプールは、家族みんなで楽しめます。釣り堀で釣った魚をうちで焼いて出すと、みなさん「うわー!」って喜んでくれるんです。 当時はヤマメ料理をフルコースで出すところがなかったので、お客さんに来て喜んでもらうために料理にも器にもこだわりました。最初は百何十万円かけて志野焼の器をそろえたんですよ。でも、重くて割れやすく、すぐに檜の器を使うようになりました。檜は年数が経っても黒く変色しないんですね。ヤマメ料理は色が黒いものが多いから、檜の器がぴったりです。 フルコースの料理は初めての人はびっくりしますよ。品数が多いですし、お酒も美味しいです。 「こんな山の中なのにこれほど豪勢な料理が出るのか!」と驚かれるぐらいたっぷり振る舞っています。 営業して45年になりますが、常連のお客さんは当時からずっと来てくれています。その時の子どもが大人になって、今度は自分の子どもを連れてきてくれて、同じように釣り堀で楽しんでくれています。とてもうれしいですね。
甘露煮や南蛮漬け等、加工品も人気です!
もっとたくさんの方にヤマメを食べてもらいたいと思い、店のフルコース料理の中でも人気の甘露煮や南蛮漬けなどの販売もしています。真空パック包装機を購入し、袋、ラベルも自分たちで作りました。 今では、こぶ巻やうるか、しょうゆ漬等の商品数も増えています。大分ワンコインふるさと商品の優秀賞もいただきました。いろんなお店に置いてもらって、買って食べられた方が美味しかったと実際に店に来てもらえることもあり、多く方にやまめの郷を知ってもらう良い機会にもなっています。
〜清流が育んだヤマメ料理、ぜひご堪能ください!〜
雄大な山々、清らかな渓流の前津江。 四季折々の景色は見ごたえ十分です。ゆったりとした時間の流れる「やまめの郷」でいただく、テーブルいっぱいに並んだ料理は圧巻です。特におススメは刺身。うすいピンク色、臭みは全くなくコリコリとした食感が特徴です。ご家庭でも、手軽にお召し上がりいただける甘露煮等の加工品もおススメです。 皆さんもぜひ、この「やまめの郷」で良い時間と料理に癒されてみませんか?
連絡先
やまめの郷
大分県日田市前津江町大野220-1
H P http://yamamenosato.com/