日田玖珠地域産業振興センター

国産素材と手作りにこだわったかりんとう「山のお菓子工房」

豊かな自然のなかで地元の野菜と自家製にこだわってかりんとうを作り続けている「山のお菓子工房」。33年間お一人でかりんとうを作り続けています。多くの種類のかりんとうを手作りしている、笑顔が絶えない高倉さんにお話を伺いました。

子どものおやつだったかりんとう

かりんとうの販売は昭和63年4月からしていますが、はじまりは子どものおやつだったんです。子どもが小さいころにお義母さんから教わり、よく作っていました。昔はかりんとうをおやつに作る家庭が多かったんですよ。そのころは自分がかりんとう屋さんをするとは思っていませんでした。
いつものおやつとしてかりんとうを友だちにも振舞っているうちに、会うたびに「たくさん作ってきて」と言われるようになったんです。そうやって何回も作っているうちに、湯布院でお店をしている友だちが、「うちの店に置きたい」と言うのでお店に置いてもらうようになりました。その後、いろんなお店から声がかかるようになり、注文も入り続け、リピーターの方も増え、今に至ります。大分県一村一品国際交流推進協会主催のかりんとうサミットで「かりんとう大賞」を受賞したこともあります。

山のもの、地のものにこだわり

プレーンだけだった味の種類も、かぼちゃやゆず、酒粕、トマトやごぼう、ごまごぼう、柚子胡椒、そしてハーブと増えていきました。野菜やハーブなどの材料は自家栽培で収穫できたものを使ったり、地元の食材を使っているんですよ。色々な種類の中でも人気なのは、酒粕とごぼうです。酒粕は湯布院の友だちが作っているもので、酒粕のふわっとした香りとかりんとうがとても合うんですよ。ごぼうは親戚が作っているものを使っていて、ごぼうの香りが強く、食べたらすぐにごぼうだとわかります。ぜひ食べてみて下さい。

-程よい甘さと噛みごたえのあるかりんとうで、ついつい食べすぎてしまうおいしさですね。

みなさんそうおっしゃってくださいます。ごぼう味のかりんとうは小袋なので食べすぎなくていいですよ。箱入りのかりんとうもあって、食べきりサイズなのでお土産にもよく売れます。

かりんとうってすごくシンプルなものでできるんです。道具もまな板、包丁、鍋があればできるんですよ。なんでも出来るだけシンプルに作っています。そして、かりんとうの材料は、自分の畑で採れたものや、地のもの、山のものにこだわっています。「チョコレートやココアのかりんとうを作っては?」という人もいますけれど、それは山にないからね。私はなるべく山の素材を使って作りたいんです。実際、安心、安全、国産にこだわって33年間ずっと作ってきました。小麦粉も国産、砂糖もてんさい糖や三温糖、黒砂糖、油も菜種油など素材と手作りにこだわってやっています。

かりんとうを作り続けた33年間

下の子が小学生のころ、よそのお母さんを知らないのに「お母さんみたいに働く人はほかにいないと思うよ」と褒めてくれたことがあって、それはいまだにうれしいですね。おかげさまで子どもたちも大きく育ってくれました。子育てをしながら、かりんとうだけじゃなく、一時期はお饅頭を作っていたこともあります。あと、友だちとポプリを作っていたことも。ひところポプリのブームがあったのでよく売れました。だから、旦那は「長男はかりんとう、次女が饅頭、3人目がポプリで大きくなった」と言うんですよ。

饅頭、ポプリも作りながらかりんとうはずっと作っていました。忙しい時は、朝、旦那を送り出してから加工所に行ってお饅頭を作って、それからかりんとうを作って、夜、全部終わってからポプリを作るという感じで、たいがい夜なべでしたね。あのころは忙しかったけど、自分も若かったし楽しかったです。仕事が苦にならなかった。今はもうそれほど無理はできないですけどね。でも、昔ほどいろんなことはできませんが、おかげさまで注文があるのでありがいたいなと思っています。

長男家族が3年前に帰ってきて、今は私たち、長男夫婦、孫3人の7人で同居しているんですよ。食べ盛りの子どもたちを含めて7人分ごはんを作るので大変ですけどね。でも、孫が「こっちに来てから一度も風邪を引いてない」って言ってくれて、毎日一生懸命やっているのでよかったなと思います。

今まで忙しい日々もあり、なんでこんなに大変な思いをしなければいけないんだと思ったこともありました。でも、家族と、孫たちと一緒に暮らせる時間も限られているし、今は楽しくてありがたいなと思っています。年を取って思うように体が動かなくなってきましたが、少しずつでもほそぼそと続けていきたいです。7年後、75歳になるまでできれば40年、85歳までできれば半世紀かりんとうを作り続けていることになります。85歳までできるかはわからないけど、いちばん下の孫が高校を卒業するまでのあと7年、かりんとうを作りはじめて40年になれるようがんばっていきたいなと思います。

〜食べると止まらないかりんとう〜

豊かな自然の中にある、「山のお菓子工房」。自宅に隣接している工房は道具たちもシンプルで、綺麗に整頓されています。ここで作られる素材にこだわったかりんとうは、少し硬めで、噛めば噛むほど素材の味がフワッと口の中に広がります。かりんとうのまわりは、蜜を輪掛けしており程よい甘さが丁度よく、永遠と食べ続けてしまうんです。色々なバリエーションのある「山のお菓子工房」のかりんとうですが、それぞれに良いところを持った、クセになる味を楽しんでみて下さい。

連絡先

山のお菓子工房
大分県日田市天瀬町本城774        

H P https://www.yamanookashikoubou.com/